第5話 またまた登場「アルバトロス」

 

本日も営業開始。
 今日は本当に暑い、それもそのはず、お盆の真っ盛り。
 こんな日でもお客様が来店してくださることは本当に嬉しいことでございます。
 オープニングのホスト達の登場、本日はいつもと違うところがありまして、センターでマイクを握ったのはSYUではなくtetsuでした。
 NO.1が交代したわけではありません。
 本日SYUは欠勤、代わってNO.2のtetsuがセンターを務める事になったのです。
 いつもと違って大変な状況のときに唯我オーナーまでも所用で出かけなければならないという事態。
 こんなときに面倒なことが起こらなければよいのですが…

 NO.1が不在でイマイチお店が盛り上がらない。
 相談した結果、いつもと順番を変更、いきなりショータイムからスタートすることに。
「ただいまよりショータイムを行ないます」
 ざわめく客席、それもそのはず、いつもなら開店してしばらくしてから行なうものをいきなりやってしまうのである。
 お客様とホスト達の語らいの時間をいきなりすっ飛ばしてのショータイム。
 勘九郎と健一にはかなりのプレッシャーのはずである。
 鳴り響く音楽、派手な照明、小力の勘九郎とHGの健一がパラパラを踊る。
 それにしてもこの二人のはまりっぷりはある意味怖い。
 心配をよそに手拍子をしてくれるお客様達。
 踊り終了と同時に暖かい拍手。
 スタッフ一同にほっとした空気が流れたのもつかの間、
「相変わらずしょっぱい踊りねぇ。あら、あのしょっぱいオーナーはいないのかしら?」
 声の主はライバル店「アルバトロス」のオーナー川田由美子。
 オーナーが不在のときにややこしい人が現れてしまった。
「オーナーは所用で席をはずしている、用件は何だ?」
 不機嫌そうに対応したのはSHURA。
「前回うちの726が圧倒的に勝ったのは本当らしいな。ここの可哀相なお客様に本当のパフォーマンスを見せてやりに来たんだよ」 
 その男は優雅な動きでCDを渡す。
「ペドロ、本当のパフォーマンスを見せてあげなさい!」
 川田オーナーの言葉にはっとして音楽を流す。
 この男どこかで見たことが…
「カポエラ…」
 その男の動きを見てSHURAがつぶやいた。
 ペドロと呼ばれたこの男の名はペドロ高石。
 カポエラだけでなくジルバやヒップホップとどんなダンスでもこなす彼は、この業界では一目おかれた存在の男である。
 ペドロのカポエラにお客様の目も奪われている。
「これが本当のパフォーマンスだ」
 ペドロが言う。
「しょっぱいオーナーがいないうちにこのお店を頂いちゃおうかしら」
 笑いながら川田オーナーも言う。
「こんなのはあくまでオプションだ、こんなことくらいで店を奪われてたまるか」
 と、SHURA。
「おまえもホストなら酒で勝負だ、おい、勘九郎。お前の出番だ」
「自分ですか!?」
 いきなり指名された勘九郎は驚いている様子。
「こんなくだらない勝負で俺らが潰れるわけにいかないんだよ、しっかり頑張れ、期待してるぞ!」
 期待しているのだかどうでもいいのだかわからない発言でSHURAは勘九郎を押し出した。
「お酒の勝負ならこっちも負けないわ、ペドロやってしまいなさい」
 そして二人の飲み比べが始まった。
 この勝負、意外なくらいに盛り上がり、お客様も楽しんでくれているようで勘九郎にどんどんボトルが入る。
 そしてペドロ側には川田オーナー、楽しんで見ているお客様からもボトルが入る。
 予期せぬ盛り上がりっぷり、そしてこの勝負のおかげで売り上げも…
 オーナーがいない間にどうなることかヒヤヒヤしておりましたがいい方向に進んだようでほっと胸をなでおろすワタクシでした。
 ちなみに勝負は勘九郎がわずかな差で勝利。
「スフィアを守ったぞ〜、ウォ〜!」
 と、酔っ払って叫んだところを
「うるさいわね、このブタホスト!こんなもんで終わりじゃないわよ」
 と、川田オーナーに顔を蹴られておりました… 


第6話へ

inserted by FC2 system