第6話 にゃんこキッド登場!
NO.1不在、アルバトロス川田オーナーの来店といきなりバタバタしていた本日。
唯我オーナーが所用を早く切り上げて戻られたため、なんとか無事に営業を終わらせる事が出来そうだと思っておりました。
それにしてもさっきから窓の外で白いものがチラチラ動いているような…
「オーナー、SYUさん今日は体調不良ですか?」
SYUを尊敬している健二が唯我オーナーに尋ねる。
「え…あ〜、そ、そうなのよ、風邪かしら…」
答える唯我オーナーだがなんだか不自然な感じが…
「オーナー、本当のことを言ったらどうなんです?SYUは無断欠勤だって」
「tetsuさん、それはホンマですか?」
唯我オーナーを見る健二とtetsu。
「実はそうなのよ…」
答えながらオーナーの表情が曇る。
NO.1の無断欠勤となればどうしてもスタッフの士気に影響が出る。
できればスタッフには知られたくなかったことだった。
「そんなプロ意識に欠ける奴がうちのNO.1だなんて…オーナー、いろいろと考え直した方がいいんじゃないですか?」
「口を慎みなさい、連絡を出来ない何かがあったのかもしれないでしょ?」
相変わらず毒を吐くtetsuをたしなめるように唯我オーナーが言った。
「携帯繋がらないんですか?」
心配そうに健二が言う。
「何回かかけて呼び出してはいるんだけど…もう1回かけてみましょうか?」
電話をかける唯我オーナー。
呼び出し音は鳴っている。
ん?なんだかまた外で白いものが動いたような…?
「もしもしにゃ〜」
電話口からSYUとは違う声が聞こえる。
突然の妙な言葉に思わず電話を切ってしまった唯我オーナー。
顔を見合わせる3人。
そのとき、白い影が窓から入ってきた。
後ずさりする3人。
そしてその白い影が言う。
「SYUさんのお店はここかにゃ〜?」
それは巨大な人間と同様のサイズの白い猫だった。
手にはみんなが見慣れているSYUの携帯が握られていた。
「なんだお前は…」
動揺を隠すようにtetsuが言った。
「タマだにゃ〜。今日はSYUさんから伝言を…」
と、タマと名乗る猫が言いかけた瞬間、
「こいつがSYUさんを喰ったんや!SYUさんの携帯を持っているのが何よりの証拠!SYUさんを返せ!」
健二が叫んだ。
「ち…違うにゃ〜」
「だいたいこんな人間サイズの猫なんて化け猫以外におるわけないやろ!化け猫は人を食うって昔から決まってる」
健二の興奮っぷりを何が起きてるのかわからないと言った表情で見つめる唯我オーナーとtetsu。
「だから違うにゃ〜」
タマは一生懸命否定するが健二は全く聞く耳を持たない。
「猫が人間の言葉を話す事自体が不自然やろ!」
と、ファンタジーの欠片もないような発言をしまくる健二。
「SYUさんの仇は俺が取る、来い、化け猫!」
健二が叫んだ瞬間、タマは逃走。
「あ、まて、化け猫!」
駆け出していったタマを追って健二も駆け出していった。
「なんなんだ…」
残されたtetsuと唯我オーナーは苦笑いをするしかなかった。
その後は大変だった。
店の中を駆け回るわ、テーブルをひっくり返すわ、グラスは割るわ…
頭を抱えるワタクシと唯我オーナー。
そして2人…いや、1人と1匹は店の外へと飛び出していく。
「酷いにゃ〜、あのお店の人たちは話も聞いてくれないにゃ〜」
タマが公園で休んでいる。
「見つけたぞ、この化け猫め!」
健二がもの凄い執念でタマに追いついた。
「にゃ〜、また来たにゃ〜」
ある家に飛び込むタマ。
「家の中に逃げるとは卑怯な化け猫や…ん?ここはSYUさんの家やないか。喰われてしまったとは思うけど一応声をかけてみるか。SYUさん、SYUさ〜ん」
「いったい何事だ!?」
頭はボサボサ、パジャマ姿のSYUが出てくる。
「あれ…SYUさん??生きてたんですか??」
SYUの姿を見て驚く健二。
「生きてたのかとはどういうことだ!?」
「化け猫に食われたんやなかったんですか…?」
「化け猫?」
SYUの言葉と同時にタマが顔を出した。
「ほら、そこにいるやないですか?」
健二の視線をたどるSYU、ゴロゴロと甘えるタマ。
「こいつは俺の飼い猫だ!」
・・・・・・・・・・・・・・・(汗)
あぁ、勘違い…
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