第9話 三度登場アルバトロス
ホスト達がフロアに登場して接客に入った頃、唯我オーナーは1人ため息をついていた。
わかっていたこととはいえ健二の退店はスフィアにとって大きい。
「なんだってうちの店はこんなに問題が多いのかしら?健二は退店しちゃうし、tetsuは相変わらずだし、変な女は毎度絡んでくるし…」
「あら、しょっぱいお店のしょっぱいオーナーさん、ごきげんよう」
と、川田オーナーが登場。
ますます頭を抱える唯我。
「あんたにしょっぱいなんて言われたくないわよ」
と、またため息をつく。
「ホストが1人辞めて大変らしいわね、今日はこのお店にトドメを刺しに来てやったのよ。凄腕のホストを連れてきたからね、KAZU!」
呼び込まれて、その凄腕ホストはチャンピォンベルトのようなものを持って入ってきた。
「あのさ、ベルトを2本も持ってて凄腕っぽいのはわかったんだけど、年増じゃないの」
そのホストはどう見てもSHURAと同じくらいの年齢。
「悪かったな」
と、言ったそのホスト、微妙に訛ってるような…
「そんなことはどうでもいいわ」
「どうでもいいのかよ!」
まるでコントのようなアルバトロスにまたも唯我オーナーはため息をつく。
「スフィアさんはホスト不足のようだからあなたと一緒に戦ってくれるホストもいないのかしら?」
と、勝ち誇る川田オーナー。
そんな川田オーナーを面倒くさそうに見ながら唯我オーナーが言う。
「はいはい、こんなこともあろうかと用心棒を頼んでありますよ」
唯我オーナーに呼ばれて登場したのは白い覆面を被った男、名前を神威と名乗った。
「オーナー、私に安心しておまかせください」
「よろしくね、神威。さて、役者は揃ったようだから相手してあげるわ、今日の勝負は何?」
−数時間後、決着。
「こっちが勝ったんだから潔くお店を渡しなさい!」
満面の笑みで川田オーナーが言った。
「あのね、せっかく店まで来たんだから一応は付き合ってあげたけど…」
と、唯我オーナーが言いかけた瞬間、オーナーを制して(突き飛ばして)神威が言った。
「え〜、川田さん、あなたは大変重大なミスを犯しました」
と、ここで聞き覚えのある音楽が聞こえてくる。
某、警部捕のドラマで使われているあの曲が…
「KAZUさん、あなた、アルバトロスのホストではありませんね」
どうやら某警部補のマネをしているようだ。
「なんだよ、こいつ」
やはり訛っているKAZU。
「KAZUさん、あなたはアルバトロスではなく、姉妹店EAGLEのNO.1ホスト、これで間違いありませんね?これはスフィアとアルバトロスの争い、そこに他人が入っていたのでは約束は無効、よってお店を渡す必要はありません、古畑神威三郎でした」
と、言い残して神威はスタッフルームへと消えた。
「あいつだって部外者じゃねーのか!?」
と、もっともな発言をするKAZU。
しかし、全くそれを聞いていないのが川田オーナーだった。
「この役立たず!もういいわ、とりあえずあんたのお店の宣伝でもして帰りなさい!」
川田オーナーも帰っていった。
あとに残されたKAZU…
「俺に手伝えって言っておいてなんだ、あれ?」
ボソッと言った後、小山にあるEAGLEの宣伝をして帰って行かれました。
ちなみに勝負は古今東西で負けたら一気という平和なものでした(汗)